食品の安全性を確保するためには残留農薬についての検査をして基準を満たしていることを示さなければなりません。新しい食品を取り扱うときや規制が変わったときには新しい基準を調べることが必要になります。残留農薬について知りたいときにはデータベースを有効活用するのが大切なので、どんなものがあってどのような特徴があるのかを理解しておきましょう。
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日本国内で有用なデータベース
国内で食品を取り扱っている企業が主な販売先としているのは日本国内なので、最も重要なのは国内における残留農薬の基準についてわかりやすいデータベースを見つけ出して使用することです。国内で公開されている残留農薬についてのデータベースにはいくつかありますが、最も広く利用されて信頼性も高いのが公益財団法人日本食品化学研究振興財団によって提供されている残留農薬基準値検索システムです。
残留農薬基準地検索システムは財団によって常に最新の状態に更新されている信頼性の高いデータベースで、誰もが無料で検索できるようになっています。「食品に残留する農薬、動物用医薬品及び飼料添加物の限度量一覧表」と題されていて、農薬等の名称からでも食品分類からでも検索できる仕組みになっているのが特徴です。
農薬などの名称については「あ行」「た行」「英語」といった項目から検索可能で、該当する分類の農薬などの名前がリストアップされるのでその中から探していたものを選べば限度量を一覧表示することができます。食品分類については「農産食品」「加工食品」「ミネラルウォーター類」「そのほかの一般食品」などといった分類に加え、「あ行」「か行」などの名前からの検索もできるよう担っていて、該当するものをリストアップすることが可能です。
農薬などの検索結果では該当する食品分類と基準値、設定根拠や留意点をまとめて表示できます。食品分類名で検索結果を表示した場合には農薬などの種類ごとに基準値や設定根拠を一覧で見ることが可能です。新しく販売をする食品について知りたい場合にも、新たに使用する農薬が見つかったときや規制がかかる農薬が登場したときにも簡単に必要な情報を手に入れられるデータベースになっています。
詳細なコメントが付されているわけではないので、まずは基準値を知りたいというときに向いているでしょう。
海外では基準が異なるので注意しよう
日本国内だけではなく国外へ輸出する食品を製造している企業では、残留農薬基準値検索システムで表示された基準値に基づいているのでは必要十分ではありません。基本的には国ごとに基準が異なっているので輸出先の規制がどうなっているかを確認し、その基準値を満たしていることを示している分析結果を用意しなければならないのです。
アメリカやカナダなどの北米諸国、オーストラリアやニュージーランドなどのオセアニア諸国などでは国ごとに定めていますが、ヨーロッパではEUに加盟している場合にはEUの基準を満たすことが必要になります。国ごとにさらに厳しい基準を設けている場合もあるので併せて調べることが重要です。
日本と同じように各国では残留農薬について基準値を公開しているので、その情報に基づいて検査結果を用意すれば問題はありません。データベースが用意されているかは国によって違うものの、アメリカやEUなどのように主要な先進国であれば公的機関が運営しているデータベースがあり、国籍を問わずに無料で利用できるのが一般的です。
中国や韓国などのアジア諸国でもこのようなデータベースが作られてきているので、輸出先として選ぶときにはまずデータベースの有無を確認してみましょう。
システム導入により使いやすいデータベースを手に入れよう
公的機関によって公開されている残留農薬基準値に関するデータベースは信頼性が高いのは確かですが、必ずしもユーザーの利便性を考慮して作られているわけではありません。公的事業ではよくあることではあるものの、とりあえず作り上げたという状況から改善を怠っている場合もあるのです。
日本の残留農薬基準値検索システムについても完璧なシステムと誰もが納得できるものではないのは確かで、例えばキーワード検索をすることはできません。データベースから表示した結果をエクセルファイルやcsvファイルとして出力したり、よく見る項目を登録して置いたりすることもできないのが現状です。
もっと使いやすいデータベースを手に入れたいと思ったら、食品分析や食品管理のデータベースシステムを導入しましょう。国内外の企業が製作して提供しているデータベースシステムを使えば、社内で使用しやすいように最適化されたシステムを運用することができます。
過去に行った分析の結果などもまとめて一元管理することができるので業務効率も高まり、信頼性のあるデータベースを独自に運用することが可能です。コストがかかるのは確かですが、クラウドシステムのものであれば比較的導入コストも低くて済むので検討してみる価値があります。
クラウドシステムはデータベースの更新が不要
クラウドシステムを使用するメリットとしてもう一つ押さえておきたいのが更新が不要だということです。独自のデータベースを作った場合には法規制が変わったときにデータベースを更新しなければなりません。しかし、クラウドシステムの場合にはデータベース自体はクラウドサーバー上にあり、業者が管理をしてくれます。
そのため、残留農薬の基準値が変わったときには速やかにサーバー上のデータベースに反映されるので安心です。更新が遅れる場合にも業者から連絡があるのが普通なので、運用上でトラブルが起こることはないでしょう。
他の業者任せにしないのがポイント
食品分析業者に依頼して残留農薬が基準を満たしているかどうかを検査してもらうのが一般的ですが、その結果を業者任せにしてしまうとリスクがあるということも覚えておきましょう。基準を満たしているという結果が返ってきたとしても、基準が実は変わっていて少し残留農薬が多くなっていたというケースも全くないわけではありません。
常に最新の情報をデータベースから手に入れてダブルチェックをすることが信頼できる食品を販売することにつながります。手間がかかるのは確かですが、検査をしている業者も人間なのでミスをするリスクは常にあることを考慮し、安全性を重視した管理体制を整えるようにしましょう。
関連リンク:株式会社 キューサイ分析研究所